執筆: 山野 健太 / 公開: 2026年10月4日 / 更新: 2026年10月4日
定滑車と動滑車の違いは滑車の仕組みの記事で解説しました。この記事では、その次につまずきやすい「滑車の問題」の解き方をまとめます。中学3年の理科で「仕事の原理」とともに出てくる問題です。組み合わせが複雑に見えても、見るところは1つだけです。
力の大きさは N(ニュートン)で表します。質量 100 g の物体にはたらく重力が、約 1 N です。
この方法で解けるのは、1本のロープがどこでも同じ強さで張っているからです(ロープの重さと滑車の軸の摩擦を考えない場合)。囲みが止まっているとき、上向きの力「本数 × ロープ1本の力」と、下向きの「囲みの中の重さ」がつり合います。
問題
重さ 6 N の荷物を、重さ 1 N の動滑車1つで持ち上げます。ロープを引く力は何 N ですか。また、荷物を 20 cm 上げるには、ロープを何 cm 引けばよいですか。
囲みの中には荷物と動滑車があるので、重さは 6 + 1 = 7 N です。囲みを支えるロープは2本なので、引く力は 7 ÷ 2 = 3.5 N。引く長さは 20 × 2 = 40 cm です。
いちばん多い間違いは、動滑車の重さを足し忘れることです。問題文に「滑車の重さは考えない」とあれば、足しません。
問題
動滑車2つを上下に重ねた装置で、8 N の荷物を 10 cm 持ち上げます(滑車の重さは考えません)。ロープを引く力と、引く長さを求めなさい。
まず下の動滑車だけを囲みます。荷物 8 N を2本で支えるので、1本あたり 4 N です。上の動滑車は、その 4 N のロープを引き上げています。上の動滑車を囲むと、4 N を2本で支えるので、手で引く力は 2 N(8 N の4分の1)です。引く長さも段ごとに2倍になり、10 × 2 × 2 = 40 cm です。
動滑車の重さがそれぞれ 1 N あるなら、段ごとに重さを足してから2で割ります。下の段は(8 + 1)÷ 2 = 4.5 N、上の段は(4.5 + 1)÷ 2 = 2.75 N です。滑車の重さを考えなければ、動滑車を3段に重ねると8分の1、4段なら16分の1になります。
問題
「解き方は3ステップ」の図の組滑車で、12 N の荷物を 30 cm 持ち上げます。下の2つの滑車と、それをつなぐ金具を合わせた重さは 2 N です。ロープを引く力と、引く長さを求めなさい。
囲みの中の重さは 12 + 2 = 14 N、囲みを支えるロープは4本です。引く力は 14 ÷ 4 = 3.5 N、引く長さは 30 × 4 = 120 cm です。
例題2も例題3も、動滑車を2つ使っています。滑車の重さを考えなければ、どちらも力は4分の1です。ただし理由の見え方が違います。2段の場合は段ごとに半分になり、組滑車の場合は1つの囲みを4本が支えています。
滑車の重さと摩擦を考えなければ、「ロープを引く力 × 引く長さ」は「荷物の重さ × 上げる高さ」と必ず同じになります。これが仕事の原理です。例題2なら、2 N × 0.4 m = 0.8 J、8 N × 0.1 m = 0.8 J で一致します。
動滑車の重さがある場合は、その分だけ余計に仕事をしています。例題1では、手がする仕事は 3.5 N × 0.4 m = 1.4 J です。荷物を上げる仕事 6 N × 0.2 m = 1.2 J に、動滑車を上げる仕事 1 N × 0.2 m = 0.2 J を足すと、ちょうど 1.4 J になります。答えに迷ったら、この検算で確かめられます。
滑車の重さを考えなければ、荷物の重さの4分の1になります。動滑車を上下2段に重ねた場合は、段ごとに半分になるので4分の1です。1本のロープで組み合わせた組滑車では、動く部分を支えるロープが4本なので4分の1です。どちらも、ロープを引く長さは荷物を上げる高さの4倍になります。
荷物の重さに動滑車の重さを足してから、動く部分を支えているロープの本数で割ります。たとえば 6 N の荷物を、重さ 1 N の動滑車1つで持ち上げるなら、(6 + 1)÷ 2 = 3.5 N です。
荷物を上げる高さに、動く部分を支えているロープの本数をかけます。動滑車1つ(ロープ2本)で荷物を 20 cm 上げるなら 40 cm 引きます。動滑車を2段に重ねた場合は、段ごとに2倍になるので4倍です。