小6理科の発展重心

重心とは?求め方と、物が倒れる条件をやさしく解説

執筆: 山野 健太 / 公開: 2026年9月7日 / 更新: 2026年10月4日

この記事の要点

積み木を1段ずつ横にずらすと、全体の重心が動きます。重心の真下が支えの範囲から出た瞬間に崩れます。

「重心」は、理科のいろいろな場面で出てくる言葉です。つり合い、回転、倒れる・倒れない——どれも重心の位置が分かると、あとは1本の線を引くだけで説明がつきます。この記事では、重心の意味から始めて、実際に求める2つの方法と、倒れるかどうかの判定までを順番に見ていきます。

重心とは「重さの平均の位置」

物体には、あらゆる場所に少しずつ重力がはたらいています。細かく見ればばらばらの力ですが、つり合いや回転を考えるときは、ある1点にまとめてかかっていると考えてよいことが知られています。その点が重心です。

定規を人差し指1本で水平に支えてみてください。真ん中あたりでだけつり合いますが、その位置が重心です。定規の左半分の重さと右半分の重さが、指を境に釣り合っている——つまり重心は「重さの平均の位置」だと言えます。

形が均一な物体なら、重心は幾何学的な中心と一致します。四角い板なら対角線の交点、円板なら中心、まっすぐな棒なら真ん中です。逆に、形や中身が偏っていれば重心もそちらへ寄ります。ハンマーの重心が金属の頭のほうにあるのは、そこに重さが集まっているからです。

求め方1:つるして探す(実験)

形が複雑で計算しづらい物体でも、実験なら重心を見つけられます。厚紙を切り抜いて試すのがおすすめです。

  1. 物体のどこか1点に穴をあけ、ひもでつるします。
  2. ひもの延長線を、物体の上に鉛筆で引きます(おもりを付けた糸を垂らすときれいに引けます)。
  3. まったく別の場所に穴をあけて、同じことをもう一度します。
  4. 2本の線が交わった点が重心です。

なぜ2本の線の交点になるのか

物体をつるすと、重心はいつも「つるした点の真下」に来る位置で止まります。そうでなければ重心が回転させる向きに力を生み、動いてしまうからです。つまり最初に引いた線の上のどこかに重心があると分かります。別の点でも同じことをすれば、重心は2本の線の両方に乗っているはずなので、交点1点に決まります。

切り抜いた厚紙で試すと、L字型やドーナツ型では交点が紙のない場所に来ることがあります。これは間違いではありません。重心は「支えられる点」ではなく重さの平均の位置なので、物体の外に出ることもあるのです。ドーナツの重心は穴の真ん中、コの字型の重心はくぼみの中にあります。

求め方2:重さと位置から計算する

物体をいくつかの部分に分けられるなら、計算で求められます。使う式は1つだけです。

重心の位置を求める式

重心の位置 = (重さ × 位置) の合計 ÷ 重さの合計

「位置」を測る基準(0とする場所)は、どこに決めてもかまいません。左端でも真ん中でも、同じ基準で全部を測れば、出てくる重心の場所は変わりません。

例を1つ。軽い棒の左端に 300 g、右端(左端から 40 cm)に 100 g のおもりを付けたとします。左端を0とすると、

重心 = (300 × 0 + 100 × 40) ÷ (300 + 100) = 4000 ÷ 400 = 左端から 10 cm

重いほうに大きく引き寄せられていることが分かります。300 g と 100 g の比が 3 : 1 なので、重心は距離を 1 : 3 に分ける位置(左から10cm、右から30cm)に来ます。これはてこやモーメントのつり合いとまったく同じ関係です。

上下方向の重心も、まったく同じ式で別々に計算できます。「重いものを下に積む」と重心が低くなるのは、下にある部分の重さが大きいほど平均の位置が下がるからです。

倒れる条件:重心と支持基底面

重心の位置が分かると、倒れるかどうかがすぐ判定できます。まず、物体が床と接している範囲を外側からぐるりと囲んだ領域を支持基底面と呼びます。四本脚の椅子なら、脚の接地点を結んだ四角形です。

倒れない条件

重心から真下に下ろした線が、支持基底面の内側を通っていれば倒れない。線が外に出た瞬間、物体は接地している端を軸にして倒れ始めます。

この一文から、安定させる方法が2つ読み取れます。重心を低くするか、支持基底面を広くするかです。相撲の力士が腰を落として足を開くのは両方を同時にやっていることになります。荷物を積むとき「重いものを下、隙間なく」が鉄則なのも、重心を下げて接地範囲を使い切るためです。

逆に、背の高い家具が転倒しやすいのは、重心が高いとわずかに傾くだけで鉛直線が支持基底面から出てしまうからです。上の実験装置で段数を増やすと、同じずらし量でも崩れやすくなるのが確かめられます。

同じ箱を15度と35度傾けた図。重心から真下に下ろした線が支点より内側なら戻り、外側なら倒れる。
重心から真下に下ろした線が、床と接している範囲(支持基底面)の内側にあれば戻り、外側に出ると倒れます。

積み木で確かめる:どこから崩れるのか

積み木を1段ずつ横にずらして積んでいくと、あるところで崩れます。このとき見るべき場所は床だけではありません。どの段でも、その上に乗っている分の重心が下の段からはみ出せば、そこから崩れます。

たとえば4段のうち上2段が右に寄りすぎていれば、下2段は無事なまま、上2段だけが滑り落ちます。上の実験装置は各段を順に調べて、いちばん余裕のない段を教えてくれます。「全体としては土台の上に乗っているのに崩れた」という場面の正体はこれです。

なお、実際の積み木では摩擦も効いています。重心がはみ出す前でも、摩擦が足りなければ滑ってずれていきます。重心の条件は「摩擦が十分にあるときの限界」を教えてくれるものだと考えてください。

崩さずに積むための物理

倒れるかどうかは重心と支持基底面で決まりますが、実際に高く積むときには、置き方と積む順番も効いてきます。

「そっと置く」と崩れにくい理由(衝撃と力積)

同じ重さの物でも、そっと置くのと落とすのとでは、下の物が受ける力がまったく違います。落下した物体は運動量(速さ×質量)を持っており、着地の瞬間、その運動量を短い時間で失います。同じ運動量でも、止まるまでの時間が短いほど、瞬間的に働く力は大きくなります。硬い床に落としたスマートフォンが割れて、布団の上なら無事なのは、布団が「止まるまでの時間」を引き伸ばして瞬間的な力を小さくしてくれるからです。

積み上げでは、この瞬間的な力が二つの悪さをします。一つは、着地点の下にある物体を押し込み、はね返りや揺れを生むこと。もう一つは、その振動が摩擦の限界を超えたところで、すでに積んだ物体をずらしてしまうことです。だるま落としが「素早く叩けば崩れない」遊びなら、積み上げは「ゆっくり載せれば崩れない」遊びだと言えます。

暮らしの中の「積み方」と重心

引っ越しの荷積み:「重いものを下、軽いものを上」という鉄則は、重心を低く保つための知恵です。重心が低いほど、トラックの揺れで箱の山が傾いても、重心の鉛直線が支持基底面から出にくくなります。また、箱同士の隙間を埋めるのは、荷崩れの原因になる「滑る余地」をなくして摩擦を働かせ続けるためです。

本の平積み:本を高く平積みすると、なぜか必ず少しずつ傾いていきます。本は一冊ごとに厚さが均一でないため、積むたびに重心がわずかにずれるからです。傾きに気づいたら、上に積み足すのではなく、傾きと逆向きに本の向きを変えて積むと長持ちします。これは「復元モーメントを足す」操作にほかなりません。

ジェンガ:ジェンガが崩れる瞬間は、タワー全体の重心が、残った土台ブロックの支持基底面から外れた瞬間です。上級者が抜く前にタワーを軽く押して「遊び」を確かめるのは、どのブロックが荷重を受けておらず(摩擦が小さく)、抜いても重心の位置に影響しないかを探る行為です。感覚的な遊びに見えて、やっていることは純粋な力学の実験です。

重心が支点より下にあるとき

ここまでは「下から支える」場合の話でした。上からつるす、あるいは1点で支える場合は、重心が支点より下にあるかどうかが決め手になります。重心が支点より下にあると、傾けたときに重力が元に戻す向きにはたらくので、自分で起き上がります。この性質を使った玩具がやじろべえで、そちらの記事で詳しく扱っています。

よくある質問

重心とは何ですか?

その物体の重さがすべて1点に集まっていると考えてよい点です。物体には場所ごとに重力がはたらいていますが、重心1点に全部の重さがかかっていると考えても、つり合いや回転の計算結果は変わりません。

重心の求め方を教えてください。

実験で探すなら、ひもでつるして糸の延長線を書き、別の場所でつるして同じ線を書きます。2本の線が交わった点が重心です。計算するなら「(重さ × 位置) の合計 ÷ 重さの合計」で出します。

重心は物体の外側にあることもありますか?

あります。ドーナツやコの字型の物体では、重心は穴やくぼみの中——つまり物体のない場所にきます。重心は「支えられる点」ではなく「重さの平均の位置」なので、材料がなくても構いません。

物が倒れるか倒れないかは何で決まりますか?

重心から真下に下ろした線が、床と接している範囲(支持基底面)の内側を通っているかどうかで決まります。内側なら倒れず、外に出た瞬間に倒れ始めます。重心が低く、支持基底面が広いほど安定します。

▶ 遊びながら体感する: 当サイトのPixel Balance 重心ステージは、台座の幅を狭くしてストッパーを外した積み上げパズルです。画面には塔の重心と、台座が支えている範囲(支持基底面)が表示され、重心がその範囲から出ると崩れます。さらに台座自体がやじろべえになっていて、重心がずれると傾き、戻せばゆっくり水平に戻ります。この記事の「倒れない条件」をそのまま指で確かめられます。

この記事の根拠

← 物理の教室 一覧へ