中3理科浮力

浮力とは?鉄の船が水に浮く理由をやさしく解説

執筆: 山野 健太 / 公開: 2026年8月27日 / 更新: 2026年10月4日

この記事の要点

浮力の大きさは、押しのけた水の重さと同じです。物の密度が水より小さければ浮きます。

お風呂に入ると体がふわっと軽くなり、湯船の水位が少し上がります。実はこの2つの現象は同じことの裏表です。中学3年の理科で学ぶ「浮力」を、身近な感覚から出発して整理してみましょう。

浮力の正体:押しのけた水の重さ分だけ軽くなる

水の中に物を沈めると、その物の体積の分だけ水が押しのけられます。このとき水は、押しのけられた水の重さと同じ大きさの力で、物体を上向きに押し返します。この上向きの力が浮力です。約2200年前にアルキメデスが発見したことから、「アルキメデスの原理」と呼ばれます。

たとえば1L(1000cm³)の物体を水中に完全に沈めると、押しのける水は1L、つまり約1kg分です。物体が何でできていようと、浮力は約1kg分の重さに相当する大きさになります。

ここから、浮くか沈むかのルールが決まります。

つまり勝負を分けるのは重さそのものではなく、同じ体積の水と比べて重いか軽いか(密度の比べ合い)なのです。

鉄の船はなぜ浮くのか

鉄は同じ体積の水の約8倍の重さがあるので、鉄の塊は必ず沈みます。それなのに、何万トンもの鉄でできたタンカーは平気で浮いています。

秘密は形にあります。船はお椀のような形をしていて、中身の大部分は空気です。船全体として押しのける水の量は、鉄の塊のときよりはるかに多くなります。「鉄+大量の空気」というひとかたまりで見れば、同じ体積の水より軽い——だから浮くのです。

逆に、船が傷ついて中に水が入ると、「空気の部屋」が水で置き換わって押しのける水の量を稼げなくなり、船は沈みます。浮くか沈むかは、最後まで「押しのけた水との比べ合い」で決まっているわけです。

鉄の塊は押しのける水が少なく沈み、同じ鉄で作った船の形はたくさんの水を押しのけて浮く様子を比べた図。
浮力は押しのけた水の重さと同じ大きさです。船の形にすると押しのける水が増え、浮力が重さとつり合って浮きます。

身近な浮力たち

プールで体が軽く感じる

人の体の密度は水とほぼ同じなので、水中では体重のほとんどを浮力が支えてくれます。足腰への負担が小さくなるため、水中ウォーキングはリハビリ運動としても使われています。息を大きく吸うと肺がふくらんで押しのける水が増え、体が浮きやすくなるのも面白いところです。

氷は水に浮く

ほとんどの物質は固体になると密度が大きくなりますが、水は例外で、氷になるとわずかに体積が増えて密度が小さくなります。だから氷は水に浮きます。冬の池が表面から凍り、氷の下で魚が生きていられるのは、この「例外」のおかげです。

潜水艦と浮沈子(ふちんし)

潜水艦はタンクに水を出し入れして自分の重さを変え、浮力とのつり合いを調整して潜ったり浮いたりします。ペットボトルの中の小さなしょうゆ入れが、ボトルを握ると沈み、離すと浮く「浮沈子」のおもちゃも、中の空気の体積が変わることで同じ調整をしています。

まとめ

浮力は特別な場所にだけ現れる力ではなく、水(や空気)の中にある物すべてが常に受けている力です。「どれだけの水を押しのけているか」——この一点に注目すれば、船も氷も潜水艦も、同じ一つの原理で説明できます。

数字で確かめる:どれだけ沈むか

浮力の大きさは「押しのけた液体の重さ」です。水は 1 cm³ あたり 1 g(1 L で 1 kg)なので、計算はとても簡単になります。

浮いて止まる位置を決める式

沈む割合 = 物体の密度 ÷ 液体の密度

浮いたまま静止しているとき、浮力と重さはつり合っています。つまり「押しのけた水の重さ=物体の重さ」となる深さまで沈んで止まる、ということです。

氷:氷の密度は約 0.92 g/cm³、水は 1.00 g/cm³ です。0.92 ÷ 1.00 = 0.92 なので、氷は体積の 約 92% が水面下にあり、見えているのは 8% ほど。「氷山の一角」という言葉は、この計算どおりの意味です。

木:杉材はおよそ 0.4 g/cm³ なので、水に浮かべると 4 割ほどが沈み、6 割が水面から出ます。同じ木でも黒檀のように 1 を超えるものは沈みます。

人の体:息を吸い込んだ状態でおよそ 0.98 g/cm³ です。真水ではほとんど沈んだ状態でようやく浮きますが、塩分の濃い死海(約 1.24 g/cm³)では 0.98 ÷ 1.24 = 約 0.79、つまり体積の 2 割が水面から出る計算になります。浮き輪なしで本が読める写真は、この密度差でできています。

鉄の船が浮くのも同じ式で説明できます。鉄そのものは 7.9 g/cm³ ですが、船は内部に大量の空気を抱えているため、船全体をひとつの物体として見たときの平均の密度が 1 を下回ります。だから浮きます。穴が開いて空気が水に置き換わると平均密度が 1 を超え、沈みます。

よくある質問

鉄の船はなぜ水に浮くのですか?

船の内部が空洞で、船全体(鉄+中の空気)の平均の密度が水より小さくなるからです。浮力は押しのけた水の重さに等しいので、船の形で水を大量に押しのければ、鉄でも浮きます。

浮力の大きさは何で決まりますか?

物体が押しのけた液体の重さで決まります(アルキメデスの原理)。深く沈めても、完全に水中にあるかぎり浮力は変わりません。

氷が水に浮くのはなぜですか?

氷の密度が水より小さいためです。水はめずらしく、凍ると体積が増えて密度が下がります。だから氷は水に浮き、湖は表面から凍っていきます。

水中の物体が、押しのけた水の重さの分だけ軽くなる原理を何といいますか?

アルキメデスの原理です。水中の物体は、押しのけた水の重さと同じ大きさの浮力を上向きに受けるので、その分だけ軽くなります。約2200年前にアルキメデスが発見したことから、この名前で呼ばれます。

▶ 遊びながら体感する: 当サイトのPixel Balanceに水は出てきませんが、「見えない力を読んで、つり合いを保つ」という点は浮力の世界と同じです。重力とバランスの感覚を、ブロック積みで鍛えてみてください。

この記事の根拠

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